ティーレマン

昨日書いた、ティーレマン指揮のドレスデン国立管弦楽団&ポリーニの続きを少々。
というのもオーケストラにはまったく失望させられました。

いまさら云うまでもなく、ブラームスのピアノ協奏曲は2曲ともピアノ独奏つきのシンフォニーといわれるほど、オーケストラの果たすべき責任は重大で、当然ながらその規模も並のコンチェルトのときとは違います。
オーケストラの重層的な音楽の中で、必要に応じてピアノが登場してくるわけで、この作品では通常のコンチェルトよりもオーケストラとピアノが密な関係を保ちながらこの壮大な音楽を紡ぎ出さなくてはなりません。

ところが、冒頭の悲劇的な出だしからピアノが入ってくるまでのオーケストラを聴いて、なんだこれは?と思ってしまいました。いかにもわざとらしいことはやっているようだけれども、音楽に実がなく、アンサンブルはバラバラで、とりわけ弦の響きのお粗末なことは驚きでした。

ドレスデン国立管弦楽団といえばドイツ屈指の名門オーケストラのひとつですから、オーケストラが悪いとも決めつけられず、やはりこれはティーレマンの指揮の責任かと思われました。

ティーレマンは世間の評判はすこぶる高いようで、今年からドレスデン国立管弦楽団の常任指揮者だか芸術監督だか、ともかくそんなような地位に就いています。しかし、実際は賛否両論甚だしい指揮者で、彼を近来稀に見る天才、圧倒的な名演、ピリオド楽器演奏の逆を行く英雄のように捉えて、果てはフルトヴェングラーの再来!?とまで崇める人もいることには驚きます。
いっぽうで、虚仮威しの音楽、商業主義で、音楽的センスがまったくない、チケットがタダでも聴きたくない指揮者だとこき下ろす人達も少なからずいるようですが、まさに真っ二つといった感じです。

マロニエ君は彼が楽壇の第一線に登場しはじめて、ドイツグラモフォンからCDがリリースされたころから傍観してきましたが、どうもこの人にはもうひとつ興味が抱けず、数枚買ってみたCDもまったくこちらの魂の琴線に触れることがないもので、ほとんどまともに聴いたことがありませんでした。
評価できるほどたくさん聴いたわけではありませんが、ひとことで言うなら、構えはたいそう立派なようになっているけれども、音楽がまるで活きていない印象でした。

この協奏曲でも、ブラームスの悲哀もロマンも情感の綾も感じられない、ただ上辺だけを整えたような(とても整っているとも思いませんでしたが)演奏にはほとほとガッカリで、なぜこういう人が評判なのかさっぱりわかりませんでした。
要するに、彼は指揮を通じてなにがしたいのか、そこのところがまったく意味不明という感じしかありませんでした。老いたとはいえ、ポリーニがよく彼と共演することを承諾したなあと思うと同時に、このオーケストラの演奏をブラームスが聴いたらどう感じただろうか思わずにはいられませんでした。

ティーレマン」への1件のフィードバック

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    マロニエ君さま(でよいでしょうか)

    突然コメントするご無礼お許しください。
    実はポリーニ(BS)とてもとても楽しみにしていたのですが、
    仕事で忙しくしていて気づいたら放送が終わってしまっていて。
    ものすごいショックをいまだ引きずっております。

    丁寧な記事の内容を拝読して、やはりどうしても
    聴いてみたい!と思っております。

    もしDVD録画されているようでお貸しいただけるようでしたら
    どうかお知らせいただけないでしょうか。
    本当にぶしつけなお願いをして申し訳ありません。

    周囲にはクラシックファンがおらず頼める人がおりません。
    どうかお力をお貸しくだされば有難いです。
    お礼は必ず致します。
    どうかお願いいたします。
    お手数おかけしますが上記アドレスまでご連絡くだされば有難いです。
    ご迷惑おかけしますが、
    その後こちらのコメントは削除していただけると有難いです
    (メールアドレス保護のため)。
    どうぞよろしくお願いいたします。

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