「食べ方」に関する事は、意外に気にかかる場合があるものです。
この手のことは、あまり神経質になってはいけないのでつとめて大雑把な気分を維持するように心がけていますが、それでも、これだけはちょっと…と(内心で)ため息が出るものがあります。
よく夫婦やカップルなどで行われる行為で、互いに別の料理を注文しておいて、途中まで食べた皿をあるタイミングで互いに交換してその続きを食べるというものですが、あれは見る側としては、ちょっとなぁ…という感じです。
当人達にしてみれば、途中でチェンジすればお互い二度おいしいということかもしれまないし、さらには好き嫌いや量の調整もできるということか、はたまた気分的にそういう行為そのものを楽しんでいるのか…。
ご当人達は夫婦であれなんであれ、特定のカップルということで、世間もこれをごく自然なノープロブレムな行為として受け止め、周囲の目からも許容されているというふうに思っているのか、あるいはさりげない主張の要素を含んでいるのか、そこのところはよくわかりません。
しかし、同席者にとっては本人達が思っている以上に、ある種の抵抗感を覚えている人が多いことは事実のようです。
まあ、よほど若くて初々しい二人が可愛くやっていれば、まだいくらか絵にもなるというものですが、どっかりした中年以上のペアがこれを人前で堂々とやってしまうのは、他人にとってその光景はどうででょう…。
ときには夫婦親子兄弟が縦横無尽に食べ物をやったりとったりしているファミリーなどもいて、まあそれだけ仲が良くて結構だと云えばそれまでかもしれませんが、他人と同席する食事の席上でカップルがこれをやってしまうと、場合によっては抵抗感を喚起させるだけでなく、単純なマナーの点からいってもそうそう褒められたものではないような気がします。
この行為は、「する人達」と「しない人達」にハッキリと二分されていて、一種のクセとかというか生活習慣といえばそうなのかもしれません。しかし、こういう事を他人の面前でためらいもなく平然とやってのける人というのは、どちらかというと美意識とデリカシーに欠けるような気がします。
また、付き合ってまだ日も浅い、しかし決して年齢的には若くもないカップルなんかが、いきなり目の前でこんなことをやってくれるのもギョッとするものです。
それまで他人がやってるのをさんざん見せつけられて、よほど羨ましかったのか、今度は見られる番!とばかりにそれをやってみせるのが快感なのか…想像もあれこれと飛び回ります。
いっぽう熟年夫婦などにこれをやられると、こちらは内心で思わず固まってしまいますが、もはやそれが常態化しているのか、あらんかぎりのものがせわしく二度三度と往復することも珍しくなく、こっちは唖然としつつ、いつしか食欲まで減退してくるものです。
ご当人達は夫婦なんだから、そんなの普通でしょう!いちいち気にするほうがおかしい!…といった感覚なのかもしれませんが、あれは率直に言って、同席者はそうとう違和感があるのは事実です。
もちろん、気にならない人は一向に平気なのかもしれませんけれども、気になる人も決して少なくはないようです。
今どきは「人とお鍋をつつきたくない」という神経質な人さえ少なくないご時世ですが、食事中の皿交換も目の当たりにすると、変な覚悟みたいなものをさせられる気分です。