ペトロフと中国

岡山の浜松ピアノ店から、ここの植田さんとおっしゃる社長さんが書かれる「もっとピアノを楽しもう通信」という通信誌をいつも送ってくださいますが、今回も興味深い記述があれこれとありました。

このピアノ店の取扱いブランドのひとつであるペトロフの本社に視察に行かれたようですが、社長のペトロフさんが強調されるには、「ペトロフピアノはすべてヨーロッパ製である」ということだったとか。これは最近のヨーロッパピアノは一部の高級品を除くと、その多くがヨーロッパ圏外で作られるようになったということの証左でもあるようです。

そしておそらくその大半は、アジアの労働賃金の安い国々で作られているであろうことが推察できます。部分的なものから完成品に至るまで、そのやり方はメーカーによって様々だと思いますが、ともかくペトロフのような純ヨーロッパ産ピアノというのはずいぶん少なくなっているのは確かなようです。


もうひとつ紹介されていたのは、中国は大連から大学のピアノの先生が岡山のお店に来られて、中古のカワイを2台買って行かれたとのことでした。
そこでの話によると「中国製のピアノはすぐ壊れるし、中国にはまともなピアノ技術者がいないようで、中身にまったく手が入っていないのでダメ」とのことでした。

そのため、納入調律には「旅費・宿泊費を負担するので、ぜひ大連まで来て欲しい」という依頼まであったそうです。その先生の話によると、中国ではヤマハとカワイのブランド価値はほとんど同じで、国立大学の大半はカワイで色は黒が人気だそうです。
たしか中国の音大教授の間では、シゲルカワイを所有することがステータスになっているという話も思い出しましたが、なるほどそんな背景があるのかと納得です。

以前、別の方から聞いたところでは、中国製のピアノといっても品質はピンキリだそうで、外国メーカーによる技術や品質の管理も行き届いてかなり優秀なものもある反面、本当にどうしようもない粗悪品も珍しくないようで、まさに玉石混淆のようです。
ただし、マロニエ君も何度か中国に行った経験では、店に並んでいるピアノはどれも、およそ調整などとは程遠いという感じで、それは中国には高等技能をもったピアノ技術者がほとんどいないであろうし、美しいピアノの音の尺度もあまりないと思われ、その必要も未だ認識もされていないことをひしひしと感じさせるものでした。

どの街の、どの楽器店も、ホテルのピアノも、かろうじて音階のようなものだけはあるビラビラな音で、グランドもアップライトもあったものじゃありませんでした。
そんな中国のピアノ店でごくたまに見かけるヤマハやカワイは、それはもう大変な高級品という感じに見えたことを思い出しました。

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