新発見

昨日のコンサートで新発見をひとつ。

通常、2台のピアノのコンサートの場合、第1ピアノ(通常の向き。鍵盤左、大屋根付き)に対して、第2ピアノ(第1の逆向き。鍵盤右、大屋根なし)のほうが分が悪いとよく言われます。
理由は簡単、フタのついたほうのピアノは音が客席側に向ってくるのに対して、フタを取り去ったほうのピアノは音が四方に散ってしまい、そのぶんパワーが弱くなるからです。

それはわかっているのですが、昨日は第1ピアノの豊かで深みのある音に対して、第2ピアノはわずかながら安っぽい平坦な音に聞こえていました。で、マロニエ君は良いほうのピアノが第1ピアノに選ばれたのだろうと、ごくごく単純に思っていました。

ところがです。後半のブラームスのトリオを控えて、第1ピアノはフタを閉じて舞台の隅に押しやられ、第2ピアノが方向転換して舞台中央に据えられ、同時に外されていたフタが取り付けられました。
するとどうでしょう、さっきとはまったく別のピアノのような、腰の据わった威厳のある音が鳴りはじめ、これにはちょっと面喰いました。
同じピアノがフタの有無と向きだけで、単なる音量以上の、音の質までまったく別物のように変わってしまうということです。

フタの有無の影響は当然としても、おそらくは高音が手前、低音が奥という配置もピアノの響きの前提条件なのかもしれません。専門的なことはわかりませんが、これほどの大きな変化には驚かされました。

連弾以外では、前半からこちらのピアノを弾いていたのは、チョン・ミュンフンでした。
おそらく彼は始めからこちらのピアノが気に入っていたのでしょうね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です