巨大客船

昨日の午前中、友人が博多港に巨大客船が入港していることを知らせてきました。
彼は高速バスで職場に向かう途中、都市高速からときおりこの手のクルーズ船が入港していると言っていましたので、また見かけたときは知らせて欲しいと頼んでいたのです。

マロニエ君は、とくに船に興味があるわけではないものの、巨大なクルーズ客船というのを一度も見たことがなかったので、いつかチャンスがあれば一度は現物を拝んでみたいもんだと思っていたのです。

友人の情報では同日午後7時には出発するとのことで、見るならぐずぐずしていられません。
そこで夕方近く、用事にかこつけてちょっと港のほうへ廻って見物に行ってきました。
博多港には大小いくつもの埠頭があり、停泊している旅客ターミナルそのものがある埠頭へ行くよりも、その対岸に位置する埠頭から見た方がいいような気がして、まずはそちらに向かいました。

天神の北にある那ノ津埠頭は、広大な道路とアクション映画さながらの荒涼とした倉庫街のようなところですが、車で走りながら建物の合間から遙かむこうに停泊する巨大船の上部がチラッと見え始めて、その化け物的な大きさに思わず息を呑みました。

この埠頭では、大型トラックが縦横に行き交い、貨物船の荷役作業などがおこなわれている関係者のみのエリアが大半で、なかなか見物に適した場所がありません。
ようやく一箇所、海面に面した場所を見つけて車をとめると、目の前には桁違いに大きい、白い高層ビルを横に倒したような途方もないサイズの船が、その偉容をこちらに向けて静かに停泊していました。

聞きしに勝る大きさ!としか云いようがなく、周りにいる船がまるでコバンザメのようで、他を圧するとはこういうことを云うのかとしみじみ実感しました。
写真を撮るなどした後、ついでなので、停泊している埠頭のほうへも廻ってみましたが、近づくにつれますますその巨大さが露わになります。車を運転しながら手前の景色の向こう側に船の上部が見えてくる感じは、船と云うよりも、ほとんど普通のビルのような趣です。

船首にVoyager of the Seasとあり、帰宅してネットで調べてみると、なんと「1999年就航当時、タイタニックの4倍、QueenElizabeth2世の2倍の大きさを誇る世界最大客船として注目を集めた」とありました。
…どうりで大きい筈です。

さて、大きさは大変なものでしたが、では客船として優美な姿かといえばさにあらずで、漠然とタイタニックのような船を豪華客船のイメージとするなら、そういう美しさとはおよそかけ離れたものというのが率直なところでした。

まるで大型リゾートホテルを海に浮かべたようで、これでもかといわんばかりの構造物が船の床面積いっぱいに、上へ上へと積み重ねられており、パッと見たところでも10階はあるようです。
しかも、こんなにも大きいのに、なんとなく余裕のない、息苦しい、ケチケチした感じに見えました。
人は数千人単位で乗っているらしく、なんだか現代のざわざわした日常生活がそのまま海に浮かんで移動しているようです。
船内の眩く豪華な様子の写真も見ましたが、それもホテルと遊園地とショッピングモールを一緒にして遮二無二押し込んだようで、いわゆる船旅の優雅とは違ったものに見えました。

ちなみにネットのデータによれば、総トン数137,276トン、乗客と乗組員を合わせると約4000人以上にも達し、全長は310mとほぼ東京タワーの高さに匹敵するようです。

ともかく、思いがけなく、とてつもないものを見物できました。

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