カタログ比較-追記

このような場所で価格の話をするのもどうかとは思いますが、前回価格のことに少々触れたついでに、参考までに一例を書いておきますと、ヤマハの現行モデルには奥行き212cmのグランドが3種類も存在し、価格は次の通りです。C、S、CFというシリーズ名は、平たく云えば梅、竹、松とでも思っておけばいいでしょう。

C6=2,730,000円
S6=5,040,000円(Cの約1.8倍)
CF6=13,200,000円(Cの約4.8倍)
というわけで、まったく同じサイズのヤマハグランドピアノ(外装はいずれも黒艶出し)であっても、グレードによってこれほどの価格差があるのは、単純に驚くほかありません。C6とCF6では、同じメーカーの同じサイズのグランドピアノでありながら、価格はほとんど5倍、差額だけで10,470,000円にも達するわけですから、誰だって驚くでしょう。

これはCF6がよほど高級なピアノだという印象を与えると同時に、じゃあC6はよほど廉価品なのか…という気分にもなってしまいますね。世界広しといえども、同じメーカーの、同じマークの入ったピアノが、グレードの違いによってここまで猛烈な価格差があるというのは、少なくともマロニエ君の知る限りではヤマハ以外には無いように思います。

また、CFシリーズとSシリーズはひとつのカタログにまとめられていますが、それでも価格は同サイズで約2.5倍となり、これもかなり強烈です。そこで生じる疑問としては、何がどう違うのかということだと思いますが、その価格差に対する説明らしきものはどこにも見あたりませんでした。

要は「材料と手間暇」ということに尽きるのかもしれませんが、それにしても…。
これが稀少なオールドヴァイオリンとか骨董の世界ならともかく、れっきとした現行生産品の話なのですから、その価格は製品の価値を裏付けるはずのものであり、そのためにも、もう少し具体的な説明によって納得させてほしいものだと思うのはマロニエ君だけでしょうか?


おもしろかったのは、ヤマハ、カワイ両者に共通した巻末のピアノのお手入れに関する記述ですが、ピアノにとって望ましい環境は、
カワイでは「室温15-25℃、湿度50-70%」とあるのに対して、ヤマハは「夏季:20-30℃/湿度40-70%、冬季:10-20℃/湿度35-65%」と夏冬二段階に分かれている点でした。
いずれも湿度に関してはかなり許容量が広いなあというのが印象的でした。

壁から10-15cm離して設置するようにというのは共通していますが、へぇ…と思ったのは弦のテンション(張られる力の強さ)に関してで、ヤマハは「弦1本あたり90kgの力が張られています」とあるのに対して、カワイでは「1本あたり80kgの力が掛けられています」という記述でした。

昔からスタインウェイの張弦は比較的テンションが低いことで有名ですが、現行のヤマハCF&SシリーズとカワイSKシリーズでは、一本あたり10kgもの違いがあるとは意外でした。これを全弦数(平均約230本)の合計にしてみると相当の差になるでしょうね。
一般論としてテンションが低い方が設計に余裕があり、耐久力もあるとされますが、最近のピアノではどうなのでしょう…。
いずれにしろカタログを見ているといろいろと発見があっておもしろいものです。

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