行ってみたい!

いまや中国は世界最大のピアノ生産国であるばかりでなく、ピアノを習う子供の数も桁違いに多く、それは必然的に世界最大のピアニスト生産国ということになるのかもしれません。

ラン・ラン、ユジャ・ワン、ニュウニュウ、ユンディ・リなどはみな逞しいメカニックの持ち主で、ここ当分は、この国からスターピアニストが登場してくる状況が続くのだろうと思われます。
現在の学習者の数は、一説には2000万人とも3000万人とも言われますので、それはもう途方もない数であることに間違いなく、世界中の権威あるコンクールには中国人が大挙して参加してくるのは当然の成り行きなのでしょうね。

かたや欧米ではピアノを幼時より始めて音楽家を目指すという流れが、ここ20年ぐらいでずいぶん変わったと聞いています。まず根底には欧米における若者のクラシック離れの風潮に歯止めがかからず、多くの若者はより実利的になってステージから客席へと移動してしまったと言われます。
つまり音楽を演奏する側から、観賞する側に、自分達の居場所を変えてしまったというわけでしょう。

それに変わって台頭したのがアジア勢で、いまや中国を筆頭に韓国なども、次から次へと傑出した才能を世界のステージへ送り出しているようです。

そんな中国ですから、当然ながら大都市では楽器フェアだのピアノフェアだのといった見本市の類が開かれているようで、しかもそこは中国のやることですから、その規模も大きなものであるらしく、マロニエ君もいつかは一度行ってみたいものだと思っているところです。

そんな中国のピアノフェアですが、最近ネットで偶然にもその様子を捉えた写真を見かけたのですが、それはやはり期待にたがわぬ驚愕の光景でした。
まずピアノは黒というような、固定したイメージのある日本とは真逆の世界がそこにはあり、無数に並べられたあれこれのピアノはアップライトもグランドも、まるで遊園地かおもちゃ売り場の商品のようにカラフルな原色であるばかりでなく、それぞれのピアノには、奇抜などという言葉では足りないほどの、度肝を抜くアイデアや様々な趣向が凝らされ、あらんかぎりの装飾の数々が散りばめられていたりします。

少し前にヨーロッパのツートンのピアノのことを書きましたが、ここにあるのはそんな生易しいものではありません。
赤、青、黄などの原色に塗って模様があるぐらいは当たり前、グランドピアノ全身が陶器の絵柄のようなもので埋め尽くされていたり、全身ヒョウ柄のピアノだったり、極め付きはさすがに展示用とは思いますが、UFOらしき物体の一部がくり抜かれてそこに鍵盤がついていたり、ロケットかスペースシャトルのような形のグランドピアノで後ろのエンジンの部分がかろうじて鍵盤になっているなど、その発想は日本人が逆立ちしてもできないものばかりで、その底抜けな無邪気さにはただもう楽しんで笑うしかなく、世界中でこんなおもしろピアノフェアが見られるのは中国をおいて他ではまず絶対ないでしょう。

中国といえば、いうまでもなく日本の隣国で、漢字や仏教なども中国から伝わったものであるし、だいいち同じ東洋人ということで、肌の色から顔立ちなども近似していますから、つい東洋という共通点があるように思いがちですが、マロニエ君に言わせれば、かの民族は最も日本人とはかけ離れた、欧米よりもさらに遠いところにあっても不思議ではないほどの異国のそれであり、とくにそのメンタリティは悉く我々とは根本から違ったものを持っているようです。

その最たるもののひとつは美意識に関するジャンルで、これはもう我々にはまったく理解の及ばない世界があり、美術の世界などでも、彼らの作り出すものには何度腰を抜かすほど驚いたかわかりません。

いつの日か、機会があれば恐いもの見たさに、ぜひ覗いてみたいものです。

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