史上二位の炎暑

過日はある方のお宅へ伺うことになっていましたが、あいにくこの日は福岡の観測史上に記されるほどの炎暑となり、午前中から気温はみるみる上昇、午後にはついに史上二位の37.5℃に達するほどの苛烈さでした。
ここまでくると、見慣れた景色もどことなく違ってくるようで、とりわけ目に映るものの色がぎらぎらと腐敗寸前のように生々しくざらついて見えるような暑さでした。

途中寄るところがあり、いったん車を置いて外に出ると、まるでフライパンの上に降り立ったようで、頭はボーッとするし、身体の動きも明らかに鈍くなる感じがしますね。
車に戻るって何気なく見たルームミラーに映る自分の顔が、短時間のうちに赤く火照っているのがはっきりわかりました。

以前にも思ったことですが、夏の中でも本当に猛烈に暑い日というのは、誰もができるだけ外出を控えるようで、意外にも道を走る車の数も普段より少な目でがらんとしていますし、我が家の周辺も昨日今日は普段にも増して深閑としているようです。

おそらくはその所為だと思われますが、目的地のお宅まで向かっているつもりが、いつもより車が少ないために予想したよりスイスイと進んでしまうし、そんなときに限っていつもは決まって赤信号になる交差点などでも、陽炎の立ちのぼる無人の青信号だったりして、それでまた車は先へ先へと進んでしまいます。

あまり早く着くのもどうかと思い、さらにゆっくり走りますが、こんなときは何をしても車が止まることがありません。急ぐときに限って渋滞にはまり、にっちもさっちも行かなくなるのとまるで正反対の状況ですが、往々にしてこういうものですね。


夕方、おいとまして車に戻り、走り出してしばらくするとなにやら目の前で物がドサッと落ちてきました。
あまりにも咄嗟のことで、何事か一瞬状況を呑み込めませんでしたが、オンダッシュのカーナビのスタンド部分がこの異常な暑さのせいで吸着力が弱まっているところへ車が動き出したらしく、赤信号が青に変わって発進したときの加速の勢いで、カーナビがいきなり手前側に倒れてきたのでした。

反射的に片手で抑えて完全落下こそ免れましたが、ひとりで運転中とあってはなす術もなく、とりあえず次の信号で停車するまでこのまま走るしかありません。片手にハンドル、もう片方には落ちかかったカーナビ、それを背中を浮かしながら運転している自分が滑稽でたまりません。
ところが、こんなときにも往きと同様で、一刻も早く止まって欲しいのに、信号は信じられないぐらい次々に青信号という皮肉の連鎖となり、可笑しさ半分、思わず叫び出したくなりました。

ようやく止まったのは、2キロほども先で、記憶では5つほどの青信号の交差点を不本意ながらスルーさせられた挙げ句のことで、そこでなんとか吸盤部分を付け直すことができました。

それにしても、今年の暑さは異常な気がします。

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