IKEA体験記

お盆前のことでしたが、イケアに行ってきました。
マロニエ君としては、例年にも増して暑い時期ではあるし、人の多い新名所みたいなところは苦手だし、いま必要な家具があるわけでもなく、別に行ってみたいとは思わなかったのですが、友人に背中を押されて、ついに行く羽目になりました。

少しなりとも混雑を避ける意味から、金曜日の午後7時近くに到着しましたが、それでも駐車場には車がぎっしりで空きスペースを探すのもなかなか大変です。
そこからトボトボ歩いて店の入口まで行くわけですが、内心もうこの時点で疲れた気分。

店に入ると目の前に「さあこちら」といわんばかりにエスカレーターが迫り、店内をどう動いていいのかもわからないので、ひとまずそのエスカレーターに乗りました。
果たして2階はメインの展示フロアで、イケアの商品展示の方法は、家具などの各アイテムが実際に生活の中で使われているようにリアルに配置されている点にあるらしく、細かく仕切られたそれぞれのスペースは商品を使ったいろんなスタイルの小部屋のようになっていて、要はそれを見てまわるというもの。

ところが、これがだだっ広いフロアの大半を埋め尽くしており、うねうねと曲がりくねった順路を歩きながら展示物を見て回らされるのは、あまり自由な気分ではありません。しかもその距離の長いことといったら、正直いって2階の展示スペースを一巡するだけでかなり疲れました。
なんとか終点まで達すると、今度は1階へ下りるべく大きな階段があり、そこは各種インテリア小物の売り場でしたが、ここがまたうんざりするような距離を延々と歩かされるわけで、つまり2階を見終わった時点で、歩くべき距離はやっと半分に過ぎないということがようやく判明。

話が前後しますが、2階の家具の展示場には店員らしき人はほとんど見あたらず、おどろいたのは、もし気に入った家具を購入しようとすれば、順路のところどころのスタンドに置いてある紙と鉛筆を使い、自分で商品タグを手繰りよせて、商品番号かなにかをこの紙に書きつけることが手順の第一歩。
その番号をもとに1階の順路の最後のエリアにあらわれる、思わず頭上を見上げるような広大な規模の倉庫の中から、紙に書いた商品番号を頼りにその商品を見つけ出し、それを自分で運び出し、カートに乗せて、レジで精算、さらに駐車場まで運んで車に積むというのがここの基本システムです。
帰宅後には、これを展示スペースで見たのと同じ姿形になるよう、自分でせっせと組み立て作業をやらなくてはならないというものです。

センスの良し悪しや価格のことはさておくとしても、この店に行って好みの家具を買うということは、それなりの体力と、張り巡らされたシステムの理解力と受容力、ちょっとやそっとではへこたれない忍耐強さが必要で、高齢者とか、こういうことが苦手な人には困難がつきまとうというのが率直なところです。

マロニエ君がイケアに行く少し前でしたが、テレビの地方ニュースによると、イケアの出来た周辺エリアでは「イケア効果」なるものが起こっているらしく、イケア開店の影響で、売り上げが伸びた業種と落ち込んだ業種があるらしく、なんと直接のライバルであるはずの大型家具店の売り上げは、予想に反してかなり伸びたといいます。

それによると、少しぐらい割高でも、笑顔の店員に迎えられて、商品選びに同行、適宜アドバイスなどをしてくれ、購入すればお届けから設置までしてくれるし、組立などする必要もないという、日本人が慣れ親しんだ販売スタイルが脚光を浴びているらしく、以前よりも売り上げが3割増!だといっていたのですが、たしかにその日本式のこまやかな接客がひどくなつかしいもののように思い起こされました。

イケアの流儀に較べれば、ドライだと思っていたアメリカのコストコ・ホールセールでさえ、まだフレンドリーさと穏やかさがあり、ほとほと北欧は厳しいなぁ…というのが実感です。きっとものの考え方や商売のセンスがまったく違うのでしょう。
わずか2時間余の滞在でしたが、車に戻ったときは疲労困憊。会話をするのも煩わしいぐらい、ぐでんぐでんに疲れて、マロニエ君にとっては真夏のスポーツにも値するものでした。

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