テレビその後

過日、画面がいきなり暗黒になってしまった我が家のテレビは、アンテナケーブル接続部の不具合という些細なことが原因と判明、めでたく復旧したことは以前書きましたが、実は続きがありました。
メーカーの技術者は画面が復旧したというのに、なにか違う問題にしきりに関心を寄せている様子で、それからまたずいぶんと時間を要して、予想外の第二幕となりました。

てっきり修理完了後の調整や確認をしているのだろうと思っていたのですが、技術者いわく、なんと液晶に異常があるとのことで、そう言われて目を凝らしてみればなるほど、ほんのかすかな筋が左側にあること、また通常の放送画面ではまったくわからないものの、調整のための単色に近い画面にすると、右下にわずかな曇りのようなものがあるとのこと。とくに曇りなどは、言われるまでまったく気づきもしませんでした。

すると、これを要修理と判断したようで、技術者の方は持参してきたノートパソコンを見ながらパーツ類の調達のために電話で会社としきりにやりとりしているようで、こちらが頼みもしないうちから交換のための手はずがどんどん進んでいて、その流れは呆気にとられました。

「部品の準備が出来たらまたご連絡しますので」と言い残してこの日は帰って行かれたのですが、この時点でマロニエ君はそんなことよりもテレビ画面が3日ぶりに復活したことばかりを喜び、そのうち液晶のことなど忘れていました。

数日後、本当に忘れていたら、メーカーから電話があり、準備が出来たのことですぐに来宅され、作業には1時間半ぐらい要するとのことで、そのときはずいぶん大変なんだなあ…ぐらいに思いました。玄関脇にはテレビがそのまま入りそうな大きな段ボールが置いてあり、ちょっと違和感は感じていましたが、礼儀正しく淡々と作業を進めているので、そのまま部屋を後にしました。

2時間近く経過して、やっと作業が終わったと知らされて戻って説明を聞くと、なんと液晶画面をそっくり新品に交換しているほか、メインをはじめとするいくつかの基盤などまで新品に交換されていると聞いたときは驚愕しました。
素人考えでも、ということは、これまで使っていた部分は、主に外枠や背後のカバーなどと思われ、中の主要な部分はほとんど新品になっているようです。

しかもすべて保証扱いですから、こちらの負担こそゼロなんですが、なんとも大胆なことをするもんだと思うと同時に、つい先日「カミナリ」という言葉を口にしたが最後、保証の適用から外されかけた危機を思い出すと、今度は、どこが悪いのかわからないような些細なことで、これだけの大胆な修理をするというのは、なにがどうなっているのやら、まったく狐につままれたような気分でした。

要するに、いずれの場合も定められた「システム」がそうさせるということでしょう。
システムに適ったことなら、いかに高額な修理でもどんどんするし、逆に適用外となったが最後、たとえユーザーが自分の落ち度でもなく、かつ、どんなに困っていることでも保証とはならず、かかった料金を請求するというわけで、たしかにある種の理に適ったことではあるのでしょうけれども、とてもじゃないですが心情的についていけない世界だということがわかりました。

テレビが実質新しくなったことはいかにも結構な結果だったわけですけれども、なんだか釈然としないものが残り、妙ちくりんな世の中になったもんだというのが率直なところでした。

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