楽器と同じ

このブログの8月21日に書いた塩ビ管スピーカーは、ネットを見ると、ずいぶんたくさんの人が作っているように思えますが、マロニエ君のまわりには自作はおろか、御本家のYoshii9の存在すら知らない人が圧倒的ですから、やはり全体としてみれば今どきオーディオなどというものは、ごくごく少数のマニアだけが騒いでいるだけのことかもしれません。

昔は、オーディオマニアは決して珍しい部類ではなく、電気店に行っても、オーディオ売り場は一種独特のハイグレードな空気があってひときわ魅力あるカテゴリーのひとつでしたが、最近はすっかり衰退して、かなり隅っこに追いやられてしまっています。
やはり今は音楽分野もネットやiPodのたぐいが主流で、オーディオそのものが世の中の関心事から大きく遠ざかってしまっているようですが、それでも、本当に音楽を聞き込もうとする欲求と姿勢がある人なら、小さなイヤホンを耳にひっかけるだけでは事は済まないはずで、最低限のオーディオ機器は絶対不可欠だとマロニエ君は思います。

これはどんなにすばらしい電子ピアノが登場しても、生ピアノから得られる喜びや感動を超えることは出来ないことにも通じることのような気がします。

さて、その塩ビ管スピーカーの名前の由来ですが、小さなスピーカーユニットを先端に乗せるための細長い筒の材質のことで、塩ビ管とは、すなわち配水管などに使われるネズミ色の塩化ビニールのパイプ(管)を使ってスピーカーを作ることから、この名前が生まれ、やがて定着したようです。

長さ1m、直径わずか10cm前後の筒を垂直に立てて、その先端に8cmほどのフルレンジのスピーカーが乗っているという形状で、通常のスピーカー同様に左右2つで一対になるわけですが、なにも知らないと、パッと目はスピーカーに見えることはなく、新型の空気清浄機とかちょっと変わった照明器具のように見えるかもしれません。

マロニエ君も、柄にもなくすっかり作ってみる気になり、だいぶあれこれ調査しましたが、このスピーカーのいわばボディにあたるパイプの部分は、使う材質によっても音がずいぶん変わってくるらしいことがわかりました。
塩ビ管は要するにプラスチックで、ホームセンタなどわりに簡単に手に入る上、安いのが魅力ですが、硬度の関係から音がやや柔らかめでクリア感には乏しいようです。

塩ビ管以外にも、あえて硬い紙の筒を使って作る人もいるようですし、硬さの点からアルミ管やアクリル管という選択肢もあるようですが、こちらは塩ビ管に較べるといささか値が張ります。
御本家Yoshii9は何を使っているかというと、これもネットで知り得たところではアルミだそうですが、それにさらに特殊な処理が施されていて、それもあの美しい音に一役買っているものと思われます。

塩ビ管には塩ビ管なりの味わいがあるらしく、これはこれで奥の深い世界なんだそうですが、Yoshii9の素晴らしさのひとつがすっきりとした音のクリア感にあるので、やはりここは硬さのある材質が望ましいように思われます。その点ではアクリルもいいらしいのですが、アクリルは万一倒したりした場合、割れたりヒビが入るということもあるらしいので、そのあたりも考えあわせてマロニエ君の第一作としてはアルミ管とすることにしました。

基本となるスピーカーユニットの選択、パイプ部分の材質、中の構造物など、これはまさに楽器の構成要素にも大いに通じるところがあって、それをどのように組み合わせて、どんな音を引き出すか、これは考え始めると相当おもしろい体験になるような気がしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です