聴くに耐えない音

知人と一緒に円筒形スピーカー製作することになり、この三ヶ月ほどでお互いに揃えたパーツ類が相整い、いよいよ互いの手許にあるものを交換する時期になりました。それによってスピーカーを組み立てるための基本的な材料は揃ったというわけで、いよいよ組立作業に取りかからなくてはいけません。

前にも書きましたが、マロニエ君はDIYの類はもともとまったくやらないのですが、そのくせ性格的にモノを作ったりする際には、自分で云うのもなんですがキチッときれいに仕上げないと気が済まないところがあります。
とうぜん今回のスピーカーも当初の目論見としては、一分の隙もなくなんていえばいかにも大げさですが、まあそれぐらいビシッとしたものを作ってやろうじゃないか!という意気込みのようなものはありました。(ま、少なくとも、ちょっと前までは…)

ところが、前回も書いた通り、土台部分になる木の円形カットがこちらが考えていたような仕上がりにはならなかったことで、一気にそのあたりの自己満足的完全主義みたいなものが一気に崩壊していくことになります。
当初は組み立てる前に塗装もするつもりで、そのための下地から上塗りまでの計画もあれこれ立てていたのですが、土台のカットが満足できなかったことがすべての原因となり、これひとつのせいでなにもかがイヤになりました。

意欲がなくなったら、そもそも塗装なんて面倒臭いこと、やってられるか!というところで、とりあえず部品を組み立ててみることから先に手を付けることに決定。半ばやけくそで2枚ある土台の板を木工用ボンドで貼り合わせますが、そんなときにも2枚の板がキチンと段差なく美しい円にならないことに、ついため息が出るし、作業にも熱が入りません。

この他にも片側3本、左右合計6本の足の接着や、アルミ管内部の金属の構造物(詳しいことを書いてもつまらないので省略しますが)に金属同士の強力な接着を要する部分があって、とりあえずそれらを予め取り揃えておいた各接着剤で接合し、一晩置くことになります。

翌日見てみると、どれもがっちりと接着されているのは予想以上で、とくに金属同士の接着は、その下に相当の重量物が取りつけられる事を考え得ると一抹の不安も残りますが、ともかくビクともしないまで強固に接合されているのは、接着剤もたいそう進化したんだろうなあとこんなところで感心させられます。
パッケージに踊らんばかりの文字で大書されていた「速乾!超強力接着!」というのもあながちウソではないようです。

なにやかやで、ともかく組み立てるだけの準備は整ったわけで、あえてここで作業中止する理由も見あたらないので、ついに慣れない手を動かして、散々ネットで見て覚えたスピーカーをいざ自分の手で組立ることになりました。

はじめはざっくりと組むだけ組んでみて、まずどんな音がするのやら様子見の気持ちでやってみると、組立そのものは1時間もあればすんなり出来上がり、さっそく音を出してみました。
第一声がでる瞬間というのは、やっぱり緊張するものですし、ある種の厳粛な気持ちも手伝います。ましてやマロニエ君は生まれて初めて手作りスピーカーというものに挑戦していることもあるわけで、その期待と不安はかなりのものに達しています。

ついに音が出ました…。
それは、なんと形容詞して良いやらわからない、いかにも低級で、間の抜けた、変な音でした。少しなりともYshii9に近づこうなどと淡い夢のようなことを考えた自分の甘さが、これほど愚かであったかと痛感したのもことのときでした。
このときに直感したことは、スピーカー作りは材料を揃えて組み立てることよりは、試行錯誤を繰り返して最もこのましいチューニングを施すことのほうがよほど大変だということです。

これからが、マロニエ君の不慣れな「音造り」のための奮闘の日々がスタートすることになるようです。

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