里親になるには

マロニエ君は、自分がこの世に生まれたその日から、家には大型犬がいたほど動物には親しんで暮らしてきました。といっても大半は犬ばかりで、人生のあらゆるシーンにはさまざまな犬達と暮らしてきた深い思い出があり、最後に飼ったのがひときわ愛情深く賢いラブラドールレトリーバーでした。

その死があまりに強いショックとなり、それ以来、もう当分はペットは飼わないことに家族で結論が出るほどどその喪失感は大きなものでしたが、それから早5年が経ち、生活の中に動物がいないのは、やはりあまりにも不自然な気がしてきたのです。

夜、寝床などにはいると、無性に犬と遊びたくなってそれで寝付けないような日も出てくるまでになりましたが、そうはいっても、犬は何かと手がかかるのはまぎれもない事実です。それでも小型犬は我が家の好みではないので犬を飼うなら必然的に大型犬ということになり、それはやはり現実的にどう考えてみても現状では無理というのが偽らざるところ。

そこで比較的手のかからないとされる猫を飼ってみようかという、マロニエ君にしてみれば小躍りしたくなるような流れになり、もともと血統やブランドなんかはどうでもいいので、里親探しのサイトを覗いてみることにしました。福岡限定でもかなりたくさんあるのには驚かされました。

見ているといろいろいるもんです。
その中の一匹が気に入ったので、ログインしてさっそく相手と連絡を取りました。
もちろんマロニエ君がこの手のサイトを利用するのは初めてですから、なにかにつけて不慣れなことばかりです。

気が付くと、ほとんど見落として当然みたいな場所へメールが来ていて、それによるといきなり何時何分に電話をして欲しいということが書かれていました。すでに数時間が過ぎていましたがとにかく電話してみると、電話口に出てきた女性は、いかにも今風な乾いた感じの話し方で会話もなかなか続きません。それでも全体としての「流れ」の説明をなんとかはじめました。

まず意外だったことは、現在猫のいる場所が北九州市なのですが、まずこちらからその猫に会いに出かけて行かなくてはならず、それは当然としても、そこで相性やらなにやらを保護者(現在の猫の所有者でこれから人に譲渡しようと云う人)の人からこちらが里親として適任か否か「審査」された挙げ句、お眼鏡に適えば晴れて「合格」とみなされるようです。
じゃあそれで終わりかと思うとそうではなく、その次は、我が家に場所を変えて「トライアル」という一週間の猫との共同生活お試し期間が始まるとのことでした。

その際には、必ず現在の保護者の人(この場合は北九州の方)がこちらの自宅まで猫を連れてくるのがルールなんだそうで、要するに他人様の家や居住環境を「猫のため」という大義名分のもとにあれこれとチェックされるようです。
しかもそのための交通費の負担もさせられるようで、自分から敢えて行くというのに、その交通費を相手に請求というのもそんなもんだろうかと思いますし、だったらはじめに北九州まで見に行く交通費も負担して欲しいというのが、偽らざる素直な理屈です。

また、これまでに接種されたワクチンなどの各医療費も新しい里親が(さすがに全額ではないようですが)負担しなくてはいけないとのことで、このあたりから話が少しおかしいなあという気がしはじめました。
サイトによっては金銭の要求は一切してはいけないと謳っているところもあるようですが、そのあたりはサイトの管理者の考えによっても変わるということかもしれません。

もちろん相手は動物なので、事は慎重にという基本の考えはわかりますが、こちらの意向を問われることはあまりないまま、先方の都合ばかりを一方的に押しつけられるような気がしはじめて、少し気分が萎えてくるようです。

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