ベーゼンドルファーに携わるヤマハの方から下記のようなメールをいただきました。
ヤマハ自身がピアノの製作会社であるにもかかわらず、この老舗の親会社となってからも、ウィーンの名器の伝統工法と志は大切に受け継がれているようで、さらにはヤマハの社員の方まで、こうしてベーゼンドルファーを熱愛していらっしゃることは、このメーカーの最も幸せで偉大なところだと思われます。
ぜひともこのブログでもご紹介したく、ご当人様の了解を得ましたので下記の通りその文面を掲載致します。この方は現在ウィーンに来ておられる由、ウィーンからのメールとなりました。
個人名のみ控えますが、それ以外は、改行なども一切手を加えず「オリジナル」のままお届け致します。
--------------------------------------------------------------------------------—
突然にメイルを差し上げて失礼します。 時にこのブログを拝見し、
内容の濃さにいつも感心しております。
私はヤマハに勤務するものですが、2008年初めよりベーゼンドルファーに
関わっております。 当初、ヤマハが経営することに、ベーゼンドルファーが
変わってしまうのではと、多くの方が心配されました。
しかし、自信を持って言えることは、ベーゼンドルファーの独特な音色を
維持することを第一義に考え、現在も開発から製造まで
オーストリアのベーゼンドルファー本社で全てを執り行っていることです。
逆に言えば、ヤマハの一番恐れることは、ベーゼンドルファーの
性格が変わってしまうことです。 此れからもウィーンの至宝と呼ばれる
ベーゼンドルファーを、しっかり守って行きたく存じます。
お書きになったようにインペリアルは100年以上の歴史を持つモデルですが、
これ以外にも現行モデルの中、170/200/225も100年以上も
継続して生産しています。
今年発表した155も基本的な構造は、伝統的なベーゼンドルファーの
製造方法を踏襲しております。 例えば支柱の構造や材質、
側板の組立て方や材質、アクション、鍵盤など。 尚、鍵盤やアクションは
170と同じであり、サイズから来る演奏性を犠牲にしていません。
また、肝心な音は小型ピアノとは思えない豊かなものになりました。
これは製造方法が他の大きなモデルと同様なため、当たり前のことかも
しれませんが。
こんな風に書きますと自慢話になってしまい恐縮です。 ただ、
ベーゼンドルファーの独特な音色に魅かれると、仕事を離れても
つい声が大きくなってしまいます。
残念ながら、九州にベーゼンドルファー特約店が無く、試弾して頂く
機会が少ないかと思います。 ただ、八女市オリナス八女ホールに
ベーゼンドルファー280が昨年納品されました。 それ以来、八女市では
ベーゼンドルファーを大変愛して下さり、これはとても嬉しく思っております。
勝手にベーゼンドルファーのことばかり書いてしまいましたこと、
どうぞお許し下さい。 東京にお越しならば、是非声を掛けて下さい。
中野坂上のショー・ルームをご案内したく存じます。 また、
ベーゼンドルファーに関してご意見があれば、どうぞお聞かせ下さい。
宜しくお願い申し上げます。