安物買いの銭失い

『安物買いの銭失い』という有名な言葉がありますね。
念のため、ネットで意味を調べてみると「安いものを買って得したように思えても、品が悪く何度も買いかえることになり、結局損をしてしまうこと。」とあり、まさに今の自分のことでした。

ここ数年のことでしょうか、電気ケトルというものがしだいに浸透してきて、我が家でもずいぶん前からこれを使うようになりました。

説明するまでもなく、読んで字のごとし、電気でお湯を沸かす要は「電気やかん」です。
これがいいのは、笛吹ケトルなどと違って、お湯が沸騰すると自動的にスイッチが切れるし、安全清潔で取り回しがいいし、プラスチック製なので火傷の心配も低いなど、とても便利で、もはやこれ無しでは困るところまで我が家の生活に馴染んでいました。

しかし電気ケトルには欠点もあって、水と熱にかかわる電気製品だからかどうかはしりませんが、ティファールなどの有名メーカーの製品であっても、だいたい数年でスイッチが怪しげな感じになり、最後はほぼ間違いなくダメになって買い換えを余儀なくされます。

まあそのときは新しいものを買えばいいじゃないかといえばそれまでなんですが、我が家で使っているものは容量が1.7Lという電気ケトルの中では大型に属するサイズで、そこそこの値段がする上に、買おうにもこれが少々のことでは見つかりません。
どこでも売っているのはほぼ間違いなく0.8〜1Lぐらいの小さなサイズだけで、これではコーヒーを1〜2杯ならいいでしょうが、それ以外は、何度も立て続けに沸かさなくてはなりません。

はじめはコストコホールセールで購入し、次は人に頼んでアウトレットモールでいずれもティファールを買ってきてもらいましたが、その2号機も先日オダブツになりました。だいたい3年ぐらいが寿命みたいな印象です。

で、ネットを見ていると、やはりこちらでも大型は商品数が圧倒的に制限されてしまい、数が少ないからなのか価格も決して安いとはいえません。そんな中にほんのわずかですが激安品を発見!
どうも中国製のようですが、「急速沸騰」と書かれ、値段は他社の5分の1ぐらいだし、有名メーカーの製品でも生産拠点はだいたい中国だったりするので、要するにお湯が沸けばいいわけだし…というように安易に考えてしまい、ついこれを買ってみることにしました。
安いことは甚だ結構でも、送料と代引き手数料のほうが製品代を上回るなど、出だしからなんだかひっかかるものがありましたが、まあともかく開けて使ってみることに。
驚いたのは箱や入れ方があまりにも簡素なことに加えて、説明書の紙切れ一枚さえ入っていないことでした。

フタを開くと、底のほうには銀色をした熱線らしきものがくねくねと無秩序に曲がりくねっており、これが熱を発してお湯を沸かすという構造であることは容易にわかりました。
軽く洗ってさっそくコンセントを差し込んで、いかにも頼りなさげなスイッチを入れましたが、果たしてなかなか反応がありません。ティファールではほどなくグツグツいいはじめて、いかにもお湯沸かしの仕事を始めましたよという印象でしたが、まずこの段階で異常に時間がかかり、はじめはよほど「静かな設計」なのかと思いましたが、そうでもないらしく、かなり経ってからようやくそれらしい音がしはじめました。

さらに沸騰するまでもだいぶ長くお待たせ時間が続き、およそ「急速沸騰」とは程遠い印象。この時点でやっぱり安物という気配が濃厚になりました。ずいぶん経ってやっと沸騰へと辿り着きましたが、こんどはスイッチが切れません。いつまでも中のお湯はグラグラと踊り狂っている状態で、ここは手動なのかと思ったら、忘れた頃にいちおう自分でポチッと頼りなく止まることは止まることがわかり、要はメチャメチャ性能が悪いという以外に解釈のしようがありません。

これではスイッチONのトータル時間がものすごく長く、いくら本体は安くても電気代ばかり喰うのは目に見えています。しかもデザインがお洒落なわけでもないし、中の熱線を見たら安全性だって疑わしいし、まったく良いこと無しです。で、いまさらこんなことを言うのもなんですが、名も知れぬ中国メーカーの製品ともなれば、素材にどんなものが使われているかも知れたものじゃない気もしてきて、下手をすれば身体に害のあるものをこんなちんけな製品を使ったばかりに毎日体内に流し込む可能性もあると思うと、いっぺんで使う気が失せました。

というわけで、お金を使って次回の燃えないゴミの日に捨てる物をひとつ増やしただけという、まことに愚かな顛末でした。

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