一昨日は総選挙のテレビをずっと観ていて、ブログ更新もできませんでした。
いまどきの選挙に関して印象に残ったことは、公平を期するという観点からか、公示日以降はいずれのテレビ局も、あまりにも各政党や候補者の事柄を伝えなくなり、どこも足並みを揃えたように中立的な立場を取るのは、甚だつまらないと思いました。
むろん、法的にもそれが正しいことなのかもしれませんが、それにしてもあまりにも行き過ぎでは?と感じました。
各メディアが、本当に法を遵守するというスタンスをとっているというよりは、いまどきの人のメンタリティの表れのようで、とにかくトラブルを避け、横並びで、責任問題が発生しないようにすることのほうに主たる注意が払われている印象です。
もちろん各メディアは公正さということを無視してはなりませんけれども、いやしくもジャーナリストたるもの、そのスレスレの領域をかすめながら自分の職務を全うすべく、あらゆる取材を通じて我々に正しい報道をもたらしてほしいのですが、近ごろはそんな性根のある、腹の据わった記者もいないのでしょうし、いてもその上司が掲載や放送を差し止めるに違いありません。
これでは、御身大事の役人根性とまったくおなじです。
12もの大小政党が乱立する中、「どこも公平」の一点張りでは、そりゃあ日頃からよほど政治に関心を持ってアンテナを張っている人以外は、どこに一票を投じるべきかわかりにくいというのも当然です。
それをわかりやすくするのはマスコミの責務でもあるとマロニエ君は思うのですが、それはせず、投票率が低いとなると、またそこのことを単独にネタとして取り上げて、国民の政治的無関心をただ政治家のせいだけにして由々しきことだとわあわあいうだけです。
なにより驚いたことは、NHKの選挙速報番組が、投票締切の夜8時の5分前、すなわち午後7時55分からはじまりましたが、冒頭いきなりアナウンサーが「まもなく大勢が皆さんにお伝えできます」と前置きして、前座のように当確を出す際の説明のようなことを言いながら時計の針が8時になるのを待ちました。
その状況は、まるで年越しかボジョレーヌーボーの解禁のごとくで、8時を過ぎたとたん「自民党の圧勝です!」「政権交代が実現しました!」と何度も伝えるのは驚きでした。
午後8時で投票の締切・即日開票ということは、そこから票数えが始まるわけでしょうけれども、マスコミ各社(とりわけNHK?)は出口調査を徹底させているらしく、投票結果を独自に掴んで準備していたものをただちに出して見せて「どうだ!」といわんばかりでした。
マロニエ君の子供のころなどは、まさにアナログの時代ですから、即日開票といっても開票状況が1%という段階から刻々と結果が伝えられ、おおよそのことがわかるのがようやくにして深夜、正確なことは翌朝にならなければわからなかったという記憶があります。
それがいまや、8時の投票締切と同時に、投票結果の全容はいっぺんにわかり、あとは具体的な数や人の名前が追っつけ伝えられるにすぎませんから、ありがたいといえばありがたいけれども、なんだか味も素っ気も面白味もないなあという印象でもありました。
現代は、なんでもがこういうテンポで事が進むので、途中のプロセスにあるものがどれもすっとばしになってしまい、とりわけ情緒面が失われたような気がします。選挙結果を知るのに情緒もなにもないだろうと言われそうですが、マロニエ君はやっぱり「ある」と思うのです。