快速無灯火魔

昨日の夜は出かけていて、帰りに博多区の国道三号線を走っているとすごい車を見かけました。
すごいのは車そのものではなく、正確に言うとドライバーがすごいのです。

他地区ナンバーの軽自動車でしたが、いきなりマロニエ君の右後方からスーッと追い抜いてきて、前を斜めに横切って、さらにひとつ左の車線に移動しました。

はじめにあれっ!と思ったのは、夜の11時ごろだというのに完全な無灯火、つまりまったくライトを付けていないことでした。これだけでもどういう神経をしているのかと思います。
この無灯火車というのは意外なことにときどき見かけますが、わりと田舎のナンバーの車などがそうだったりすると、真っ暗闇の田舎道とは違って、夜でも明るい街中に慣れていないんだろうぐらいに笑っているところですが、ゆうべの車はそういう無邪気さとはちがった何か異常な感じが漂っていて、はじめから妙に目立っていました。

しばらくその車の傍を走る状況になったのですが、やや荒っぽい運転ではあるけれども「暴走」というほど激しいわけでもなく、でも、どういいようもなく動きも気配もヘンであるのは間違いない。一体どんな奴が乗っているのかという興味ばかりが募ります。
しかし、信号停車ではなかなか隣に並ぶチャンスがなく、しばらくやきもきさせられましたが、ついにチャンスが訪れました。

はじめは真横ではないものの、斜め後ろぐらいに信号停車すると、なんとその車の運転席にはカーナビどころではない大きさのモニター画面がハンドルのすぐ前にドンと付いていてビックリ。夜目にも鮮やかに映っていて、なにやらアニメ映像みたいなものがずっと流れています。
そうです、この軽自動車のドライバーは運転しながら、この画面のほうに熱中しているらしいことがひと目でわかりました。これを見ながらスイスイ飛ばして走っているわけです。

あんな大きなサイズの車用モニターがあるのかどうかしりませんが、ひょっとしたらタブレット型液晶かもしれません。そこのところは結局よくわかりませんでした。

さらに次の信号では横に並ぶことになり、もうこちらもたまらなくなってドライバーの方を覗き見ると、それなりの年齢のメガネをかけた中年男性が、周りのことなど全く意に介さない様子で、まさに自分の世界を作ってそこに浸りきっており、耳には白いイヤホンが差し込まれています。
おそらくアニメの音声なんでしょうね。

そしてトドメは、口は終始モグモグしていてしきりに何かを食べています。
ときおり助手席に手を伸ばしてはパッと口になにかを放り込んで、またモグモグでずっと食べているうようでした。と、信号が青になると、これがまた結構な勢いでブンブン加速していき、相当のスピードで走っているのには心底呆れかえりました。

夜の国道に、無灯火の黒い物体がかなりのスピードで走り抜けて、まさかこんな全身危険まみれみたいな車を追いかけるつもりもないので、こちらは自分のスピードで走っていると、そのうち見えなくなってしまいました。

あとから考えれば110番通報すべきだったかとも思いましたが、まあとにかく変わった人がいるものです。ただ、事が車ともなれば、あんなドライバーのせいで事故でも起こればたまったものではないですから、本当に注意していなくてはいけませんね。

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