親切が裏目に出るとき

友人が車を修理に出すというので、帰りの足代わりに迎えに行ってあげたその帰り道。
現場は片側2車線の道路で、交差点内だけ右折専用車線が追加されて3車線になるスタイルの、まあどこにでもある交差点付近。

マロニエ君は右側の走行車線を走っていましたが、前方が赤信号となり、先頭から3台目に停車しようとしたところ、左のわき道から出て来ようとする軽自動車がこちらに向いており、どうやらそこから一気に停車中の車の間をすり抜けて、対向車線へ向けて右折したいということのようで、運転する若い女性が「通して」という感じにこちらを見ました。左車線の車はそれを心得て、すでに少し手前で止まっています。
仕方がないから、マロニエ君も前車とやや距離をおいて停車すると、その女性はトーゼンみたいな感じで車はスーッと我々の目の前を横切りはじめました。

で、なんとなく見ていると、その女性、どういうわけか左のほうばかり顔が向いて、肝心の右側を一切確認せず、まったく注意の意識もない様子に違和感を覚えました。マロニエ君のいる車線の右には、右折専用車線がまだあるのに!
あぶないと思った次の瞬間、右折車が背後からサーッと走ってくるや、女性の車の右側にほとんど正面衝突して、軽自動車のほうは前方に1、2メートルとばされて停車しました。
マロニエ君もワーッ!と思わず声をあげてしまいましたが、ほんとうに一瞬のできごとでした。

右折車の運転者はすぐに車を降りて女性に話しかけますが、女性は人形のように無表情で、車からまったく降りようともしませんでした。
でも、マロニエ君の見るところでは、女性の不注意に事故の大半の原因と責任があると思いましたし、ぶつけたほうの男性こそいい災難だったという他ありません。自分が逆の立場でも、あんなに急に信号停車中の車の中から、別の車がためらいもなく横に飛び出してくるなんて、普通なかなか思いませんから、きっと同じようなクラッシュになっていたような気がしました。

はじめに意地悪して、彼女の望むスペースをふさいでしまっていたら起こらなかった事故かと思うと、なんだか責任の一端がこちらにもあるようで、なんとも後味の悪い出来事でした。
衝突の瞬間のドスッというような乾いたイヤな音、そのあとの不気味な沈黙が、生々しく記憶に残りました。
努々安全運転には気をつけなくては。

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