日曜はヤマハの営業の方からのお招きで、新しいグランドのレギュラーシリーズであるCXシリーズのサロンコンサートがあるというので、これに行ってきました。
お馴染みのヤマハビルの地下のeサロンのステージ上には、いつものCFIIIにかわって、新型のC7Xが置かれていました。
ニューモデルの解説などがあるのかと思いきや、そういうものはなく、女性の方の簡単なご挨拶の後、宮本いずみさんという女性ピアニストが登場され、モーツァルト、ベートーヴェン、ドビュッシー、ショパンの名曲を弾かれました。
なんでも、この方はこちらの地元の方ではないようで、通常の演奏のほかに浜松で開発中のピアノの試奏も仕事としてやっておられる由で、演奏の合間にときおり挟み込まれる短いトークの中で、「このピアノには私の声も入っています」というようなことを言われていました。
このピアノの楽器としての感想/とりわけピアニストの演奏に関しては、マロニエ君はよく理解できないものでありましたので、今回は敢えてコメントは控えます。
ただ、コンサートのあとでピアノの中を少し覗いてみると、フレームをはじめ、内部の作りの巧緻な美しさにはいよいよ磨きがかかっていることは間違いなく、いかにも「日本の工業製品の作りの美しさ」という点では見るに値する出来映えだと思います。
良くも悪くも、昔の手作りピアノとは異次元の、高精度の極みのような作りは目にも眩しいばかりで、日本の技術力を見せつけられているようでした。
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それよりも、終演後、営業の方から耳にした話は驚天動地な内容でした。
一階のショールームに立ち寄ってカタログなどをいただいていたときのこと、その営業の方は「ここも3月いっぱいです…」といわれ、マロニエ君は咄嗟にその意味が呑み込めませんでした。
ここはヤマハのビルで、博多駅前の一等地にあり、福岡のみならず西日本地区のヤマハピアノの一大拠点として長年親しまれた場所です。
問い返しなどをしながら、このショールームが3月いっぱいで終わりを迎えるということはひとまずわかったものの、てっきりどこかへ移転でもするのだろうかと思っていたら、そうではなく、ビル自体が売却され、代替のショールームを作る計画もないとのこと。
そのぶん教室などを、より充実させるなどの方策はとられるとのことですが、この駅前のヤマハのプライドともいうべき美しいショールームは、消えて無くなるということがようやくにしてわかり、大きなショックを受けました。
このショールームはとりわけグランドはいつ何時でも、ほぼカタログにあるフルラインナップに近いピアノがズラリと並び、九州におけるヤマハの大看板的スペースでした。
さらに地下にはこの日もおこなわれたように、コンサートや各種講演会など、音楽に関する使い勝手のよいイベント会場としても稀少かつありがたい存在でしたから、福岡およびその近郊の人達は、一気にこれらの場所までも失ってしまうことになるわけです。
今後は天神にあるヤマハが、ピアノでも中心的なショップになるようですが、なんとも残念としか言葉が見つかりません。
先の選挙では、自民党が大勝し、アベノミクスなどという言葉も飛び交うようになり、せっかくこれから好景気の兆しも見えてきたというのに、このヤマハの決断はあまりにも辛すぎるものです。