入浴剤

お風呂の入浴剤にはいろいろあって、それぞれに能書きが書かれているようですが、マロニエ君は一度もまじめに読んだことはないし、たまたま目に入る文言の何一つさえも信じたことはありませんでした。

入浴剤は個人的にとくに好きでも嫌いでもなく、よって使ったり使わなかったり、ポリシーもなにもなく、まるきりいいかげんなものでした。入れる場合もいつも単なる思いつきでしかなく、強いていうならお湯に色が付いてそれが楽しいからという程度で、入れなくなるとまたずっと入れません。

さて、今期の冬は本当に寒さが厳しく、せっかく湯舟につかっても洗い場に出ればたちまち忍び寄る冷気にガクガクと身を震わせることしばしばでした。
さらに巷では「半身浴」なるものが身体に良いと喧伝され、これがさかんに推奨されるようになりました。昔のように首までどっぷりとお湯に入るというのは、むしろ健康によろしくないという尤もらしいお説が蔓延し、これといって定見のないマロニエ君もそうなのか…と思い、お湯の量をやや少な目にして肩が少し出る程度にしてみますが、冬場はやっぱりこれが堪えます。

そんな折、最近のことですが「半身浴はむしろ体に悪い」というような、このセオリーそのものを根底から覆すような新説まで出てくる始末で、あんなに悪だと決めつけられたメタボでさえ近ごろは良否がひっくり返され、本当はややメタボぐらいのほうが望ましいといった意見まであらわれ、もはや何を信じていいのかわかりません。
今は健康ブームが続いて久しく、それに関する情報も多すぎて錯綜しているというべきかもしれません。

半身浴にしたところが、そんなにいいと言われるわりには、テレビでよくやっている温泉巡りの類では、番組リポーターやタレント連中など、だれもそんなポーズを取る者はなく、いろんなお湯に入っては顔をゆるませ心ゆくまでくつろいでいるシーンしか目にしませんね。

何が真実なのか確かめようもない中、だんだん情報に踊らされるのもバカバカしくなり、要は常識の範囲内で、あるていど自分のしたいようにするのが賢明なような気もしてきました。

話が逸れましたが、このところのあまりの寒さに、入浴時に何かささやかでも対策はないものかと考えていた折、このところすっかり入れなくなっていて、存在すら忘れていた入浴剤を入れてみました。とくだん何かを期待していたわけでもありませんが、何か感じるものがあったのかもしれず、自分でもよくわかりませんがとにかく久々にこれを投入。
するとなんと、明らかに体の温まり方が違うのを体感してしまい、思いがけない効果にすっかり感激してしまいました。

それも特別な高級品などではなく、普通にホームセンターなどで売っているお馴染みのものにすぎません。他の効能については知りませんが、身体が温まるという点についてはたしかに体感できる効果があったので、それいらいすっかり癖になり、ちかごろは毎回欠かさず入れるようになりました。

そういえば、先日も実家に里帰りしていた友人から「使わないから」と箱入りの立派な入浴剤をもらったばかりなので、これは期待が持てると思うとひとりとほくそえんでいるところです。

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