先日、物置の整理をしているということを書きましたが、大半は市の指定によるゴミ袋に入れて回収日に出すということをひたすら繰り返しています。
大中小あって、45Lというのが一番大きなサイズで、これはどこで買っても一切の値引きも無く450円、つまり一枚45円也の袋です。実にくだらないことですが、この袋を二重(中の袋は普通の市販のもの)にして強度を増し、できるだけ中のゴミを圧縮しながら、できるだけたくさん詰め込むことに一種の楽しさを覚えてきました。
不思議なもので、努力をすればするだけたくさん詰め込めるし、要領も良くなり、出来上がったときには袋全体がまるでオバQのような様相となります。
ささやかながら、なんでも凝り性なところのあるマロニエ君としては、次第にコツが掴めてきて、底のほうに置くものやその形状、入れ方の工夫なども次々に思いついて、我ながら実にセコくてバカバカしいことだと知りつつも、変にこの作業を挑戦的な気分で没頭するようになってきました。
次から次ぎに作っているうちにテクニックも上がるし時間も早くなり、何事も練習というのは本当だなあ…なんて感心しながら、それにしては肝心のピアノはどうして上手くならないのかと思ったりしながら。
それもこれも、ペラペラのゴミ袋が一枚45円もすることに一種の抵抗心が芽生えて、できるだけたくさん詰め込むことで、自治体の思惑にせめて抵抗してやろうという反抗心もあるのです。そうやって詰め込まれたゴミ袋はいよいよ肥大化し、回収日に外に出すのがちょっと恥ずかしいぐらい極限まで成長していきました。
それだけ詰め込み方の手際が上がったというわけです。
そんなある日、おやつを買いに行こうと車に乗ったのですが、このところあまりに同じ店でばかり買っていたので、美味しいけれどもいささかその店の味にも新鮮味がなくなっていたので、その店の目と鼻の先にある、もう一件のお店に行ってみることにしました。
数年前のオープン当時一度買ったことがあり、そのときの印象はイマイチだったものの、もう一回ぐらい買ってみようかという気になり、その日は敢えてそちらの店で買いました。
果たして、陳列ケースを見たとたん、あ、大したことないな…と直感しましたが、もう店のドアは開けて中に入ってしまったことだし、自分のことをかわいいと思っているようなお姉さんが、すかさず奥から出てきて「いらっしゃいませぇ!」とえらく高い声を出してしまった後でしたから、この場は諦めてとりあえず4個ほど買ってみました。
帰宅するなり食べてみると、予想以上になんてことないもので、家人にもまったく不評でした。サイズも小ぶりで、味も単調、ハッキリ言って大失敗。もう金輪際行かない店という認識を自分の中に刻みました。
同時に、ふと、ゴミ袋のことを思い出しました。
こんなしょうもないケーキが、あの10枚入りの指定ゴミ袋とほとんど同額だなんて、到底納得できないし、磨き上げた詰め込みテクニックが、とめどなくアホらしいもののような気がしてきました。
自分のやってきた努力が、出来の悪いケーキ1個によって無惨にも瓦解したようでした。
そういうわけで、せっかく磨いたテクニックですが、それもそこそこ使うことにして、ゴミ袋はもっと大胆にパッパと使うことに決めました。
…とはいっても、実際には大した差はないのですが、でも気分はかなりかわりました。
まあ、冷静に考えれば、あれだけのゴミをひとつ45円で処理してくれるのですから、考えてみればありがたいもんだと思い始めているこの頃です。