別人のように

ついひと月前のことですが、必要があって携帯電話をひとつ新規契約しました。

これまで使っているケータイとは別会社だったために、事前にショップへ説明などを聞きに行き、そのとき対応に出た女性はあれこれのプランやサンプル機種を目の前に並べて、明るい調子で、なかなか熱心に説明してくれました。

カタログをもらって一旦帰宅し、それからほどなくして正式契約に再度ショップを訪れました。このときの対応は別の男性スタッフでしたが、この人も明るく一生懸命な様子で、次々に必要となる説明や確認事項などをこちらに示しつつ、何度となく端末をテキパキと操作したり、奥に引っ込んではまた出てきたりと、たかだかケータイとはいえひとつの電話を開設するのは、なんとも骨の折れる手続きだなぁといまさらのように実感しました。

時間も優に1時間はかかるし、スタッフとの関わりもそれなりのものになり、結構なエネルギーを要するというのが正直なところです。すべての手続きが終わって電話器その他を受け取って、店のドアを出るころにはぐったり疲れると同時に、お店の人にも素直にご苦労様という気分になるものです。

どの電話会社も似たようなものでしょうが、だいたいどこかに納得できないようなルールもあって、この時もこれこれのオプションをセットで付けると、数千円かかる事務手続き料が無料になり、さらにそのオプションも一定期間は無料で提供され、必要ない場合は契約から1ヵ月経過すれば解約できるということなので、とりあえずお得ということでもあり、そのサービスに入ることにしました。

その後、ひと月が経ったので、へたをすると忘れてしまい料金が発生する恐れがあるので、覚えているうちにと思って解約手続きをしにショップに出向きました。
店内に入ると前回手続きをしてくれた男性スタッフは接客中で、平日ということもあってか、ほかにスタッフの姿はありません。違和感を感じたのは、まずこの男性、いくら接客中とはいっても、営業中の店舗に来客があれば「いらっしゃいませ」ぐらい言うとか、最低限なんらかの反応をするのは接客業云々以前の自然な礼儀だと思うのですが、広くもない店内に人が入ってきて、わずか2m足らずの場所に突っ立っているのに、それをまさか気がつかないとは言わせません。しかし、こちらには頑として一瞥もくれずに目の前のお客さんとのみ会話が続き、こちらは延々とその場に立ちつくすだけでした。

こういうことは、最近よくあることで、気づかないということが通用しない状況でも、あくまで気づかない態度をとって他のお客さんを無視するというやり方が横行しているように思います。マニュアルにないことは一切したくないのでしょうし、建前を悪用して嫌な人の本心を見るようで、人としての基本的な気配りというものが欠落しているわけです。

どうしようもないのでついにこちらから、ほかに誰もいないのかと尋ねると、それでようやくこちらを見て席を立ち、奥に人を呼びに行きました。それでやっと出てきたのが、一番はじめに説明をしてくれた女性でしたが、無料サービスを外す手続きを依頼すると、この女性も前回の熱心な店員の態度とは打って変わって、笑顔のひとつもないまま淡々とパソコンの端末を忙しげに操作しはじめます。
さらには、それにまつわる確認事項をことさら事務的な調子で説明し、このときもそれなりの時間がかかりましたが、なんだかとてもやりきれない気分になりました。

べつにケータイのショップの店員に何かを期待しているわけではないけれど、すでに会話をしたことのある人間と再度顔を合わせれば、「あ、こんにちは」程度の態度というものがあってしかるべきはずですが、二人とも過去のことはたとえ昨日のことでも終った事として断ち切るのか、こうも冷徹な態度をとるのには驚いてしまいます。

なぜそんなにも別人みたいに態度を変えなくちゃいけないのか、さっぱりわけがわからないし、それだったらはじめから同じ態度で通してもらったほうが、まだ潔くもあり、余計な不快感を味わうこともないと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です