7月3〜4日は最悪とも云える空模様で、朝から絶え間なく雨が降り続き、それがときどき恐ろしい生き物のように激しくなったりの繰り返しでした。
雨よりも甚だしかったのは尋常ではない湿気で、家全体が蒸し風呂にでもなった気分でした。
だからといって家中のエアコンをやみくもに入れるわけにもいかず、なんとも気の滅入る、そして気分だけでなく身体的にも猛烈に過ごしにくい、一年を通じて滅多にないような悪天候でした。
ピアノを置いている部屋では、もちろんエアコンが除湿をしてくれるものの、冷えすぎなど温度事情もあるために、基本的には除湿器に依存しているのが我が家の実情です。
このところは除湿器が停止する僅かな時間もなく、ほとんど24時間フル稼働が続いていますが、除湿器の予備があるわけではないので、酷使が祟って故障でもしたらどうなるのかと思うと、気が気ではありません。なんとかがんばってこの夏を乗り切ってほしいと手を合わせるように願うばかりです。
毎日、タンクに貯まった夥しい量の水を捨てるたびに、こんなにも大量の水分が部屋の空気中に漂い、それがピアノの内部へと侵入していくのかと思うと、毎度ゾッとしてしまいます。
この季節の高温多湿はそれなりに慣れているつもりでも、3〜4日の湿度はちょっと異常で、まるで街ごと熱帯地方にでも放り込まれたかのようでした。
エアコン+除湿器のある部屋から一歩廊下に出ると、ヌッとした重くて分厚い空気から身体が押し返されるようで、それがどこまでも続きますから、いやはやたまったものではありません。
これでは除湿器のない部屋に置かれたピアノなどは、ガタガタに狂ってしまうだろうということは、もう理屈じゃなく本能で感じてしまいますし、世の中の多くの楽器や美術品なども例外ではないでしょう。
そういえば、ピアノの管理もさることながら、人間にも(過度な)湿度はよくないということを、いつだったか、テレビニュースで実験映像とあわせて報じていたことを思い出しました。
同じ人物が、同じ場所で一定時間の運動をするのですが、低湿の場合、運動によって湧き出た汗が10分ほどで乾いてしまいますが、湿度を梅雨並の高さに変化させた上で同じことをすると、今度は汗がいつまでたっても乾きません。
乾かないことで、水分が皮膚の表面に張り付き、それがクールダウンの邪魔をして、いつまでも身体の温度を下げてくれなくなるのだそうで、結果として体温が無用に高く維持されてしまい、これが身体の疲労につながってしまう原因だという説明でした。
とくに持病をお持ちの方や高齢者の方などは、こうして高湿によって体力を著しく奪われるので、温度だけでなく湿度にもじゅうぶん注意が必要ということです。
それだけの疲労を生み出すのですから、不快に感じるなどは当たり前ですね。
同じ気温でも低湿だと涼しく感じるといわれていたことが科学的に立証されたわけで、なるほどなぁと思いました。やっぱり人の身体も楽器も、快適環境は同じのようです。