ピアノフェスタ1

毎年夏、博多駅ターミナル内にあるJRの大展示場で行われる島村楽器主催によるピアノフェスタに今年も知人らと行ってきました。

楽器販売が低迷する時節柄、大手メーカーのショールームさえも撤退を余儀なくされるなど、ピアノを取り巻く厳しい状況が続く中、とりわけマニアックなピアノ店が少ない福岡では、質・量いずれの点に於いてもこれほど多くのピアノが一堂に集められ、大々的に展示販売される催しは唯一無二のものとなっています。

会場入口からは、いつもながら電子ピアノが無数に並べられていて、きっと素晴らしい製品はあるのだろうとは思いつつ、どうしてもアコースティックピアノの展示エリアに足が向かってしまうのは、個人的に興味の比重が異なるため、毎回素通りになるのは仕方がないようです。

スタインウェイをはじめとする、海外のブランドがズラリと並ぶ中、今年は日本製のグランドもこれまでよりかなり数多く展示されていたように思いました。
珍しいところではグロトリアンやシンメル、古いベヒシュタインなども見受けられましたが、輸入物ではやはりスタインウェイが最も数が多く、記憶ちがいでなければD/C/B/A/O/M/Sのすべてのサイズが揃っており、ほとんどが美しく仕上げられたオールドの再生品だったようです。

島村楽器の扱う中古ピアノの良い点は、高級機でも大半がオーバーホールをされていることで、消耗品の交換はもちろん、外装なども多くが塗装をやり変えてあるので、いかにも中古品というマイナス印象を受けなくて済むことでしょうか。もちろんすべてではないかもしれませんが、多くの個体がこのような状態で販売されているようですし、価格的にも、絶対額は安くはないけれども、あくまでも常識的な納得できる価格である点もこの全国に販売網を持つ大手楽器店の強味なのかもしれません。

ただし、オーバーホールされたピアノに共通して感じられたことは、調整は明らかに未完の状態で、まだ本来の性能を発揮しているとは思えず、これから音を作って開いていくという余地が残っていることでした(意図的にそういう状態でとどめられているのかもしれませんが)。
個人的にはもっと調整の仕上がった澄んだ美しい音や響きを聴きたいところですが、それは購入されたお客さんだけが自分の好みを交えながらじっくりと熟成していく過程を楽しまれる、密かなる権利というところなのかもしれません。

しかし、それは同時にそれぞれのピアノがこの先の弾き込みや調整如何によって、どんなふうに成長していくかをある程度イメージできるかどうかという大きな課題を突きつけられているようで、これはよほどの経験者か目利きでなければその見通しを立てることは相当難しいことでもあり、やはり楽器購入は何がどう転んでも容易なことではないということを実感しました。

それにしても、毎年これだけ大量のピアノを関東から運んで展示会をされるということ、さらにはそれがすでに3年も連続しておこなわれているということだけでも、我々のようなピアノ好きとっては大変ありがたい唯一の催しであるわけで、素直に感謝するべきだと思いました。

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