中古車は今が底値?

友人の車のエアコンが故障し、他にも不具合を抱えていたこともあり、これを機会に買い替えを検討しています。その友人が現在長期出張中なので、マロニエ君がとりあえずある中古車店に目指す車を見に行ってきましたが、いやはや驚くようなことばかりでした。

街中には珍しく、完全な輸入車専門店で、あるのはすべて中古車です。
驚いたのはその値段に対して非常に程度が良く、マロニエ君も思わず欲しくなるほどでした。
フランスの名車ですが、V6-DOHC3000cc搭載の上級モデルで、外観も少しもくたびれたところがなく、色艶もあってくっきりとした印象の車でした。いわゆる中古車のみじめさがまったくない、まだまだ若々しさの残る個体でした。

そこの店主がおかしな人で、どんなに声をかけても人の気配がなく、やむ得ず勝手に車を見ていると、やがて買い物袋を提げたそれらしき人がせわしげに戻って来ました。近所まで買い物に行っていたんだそうです。
奥に入るなりすぐに車のキーを渡してくれて、自由に車を見せてくれました。客だからといってべたべたくっついてまわらず、まずは好きなように勝手に見させるというのがこの店の粋な方針のようでもありましたが、そのうち「ちょっと食事してないので弁当を食べますから、なにかあったら声をかけてください」といわれて事務所に引っ込んでしまいました。おかげで心行くまで丹念に車をチェックすることができましたが、本当に良質な車で、それがまた信じられないほど安いのには二重の驚きでした。

店主殿と話したところでは、その店は自分一人でやっているので安くしないとみんなディーラー系の店に行き、とてもやっていけないので、敢えてそういう価格設定なんだと言っていました。
また、この店はパッと前を通ったぐらいでは車屋とはわかりにくい店構えで、倉庫のような大きなログハウス調の建物の中に10台ほどの在庫車はすべて保管してあるので、雨風や直射日光を浴びることはなく、どの車も清潔で健康そうにしているのは車好きとしてはとても好ましく感じる点です。オープンカーはオープンの状態にして展示できるのも屋内保管だからこそできることですね。
どんなにいい車でも野ざらしにされたら、日ごとにコンディションは悪化しますし、とりわけ内装材の日焼けや悪臭は対策の打ちようがなくなります。それだけにとてもいい状態でした。

さらに驚いたのは奥にあったBMWの740iで、10数年前の車ではあるものの、大事にされてきた車だけが持つ優しげで上品な佇まいがそこにあり、見るだけでも大変立派でエレガントな車でしたが、その価格はなんと39万円!?という途方もないものでした。新車当時1000万した車で、ドアの重みや閉まり方一つ、革シートの材質や高級家具のような作りこみ、ダッシュボードからドア内側に連なる上質のウッドなど、どこをとっても本物だけが醸し出す「格」の違いをまざまざと見せつけられるようでした。ピアノならさしずめスタインウェイかベヒシュタインで、それらに通じる一級品のオーラがありました。
ピアノならきっと新品時の価格の7~80%を維持していると思うと、車はどんなに高級品でも純粋な消費財だというのが痛いほどわかりました。

店主いわく、こんな値段をつけても、世の中はエコエコの時代で売れません!と言っていたのが印象的でした。
あんなにつややかで洒落ていて威厳に満ちた豪奢なリムジンが、軽自動車の1/3以下の値段とは、なんだか頭がクラクラしそうでした。やっぱり今の時代、なにかが絶対おかしいですね。

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