今日は一人レッスンをしましたが、その方は拘りがあるのか、楽譜はほとんどヘンレ版の楽譜を使っています。
もちろんヘンレ版の優秀性に対しては、世界中のプロを含む数多くのユーザーがこれを認め、昔も今も高い支持を得ていることからもそれは証明されているように思います。
もちろんマロニエ君も何冊も持っていますが、値段的にも最も高価な部類ですから、大した曲ではない場合にはより安い楽譜を買ってしまうこともよくあります。
さて、そのヘンレ版ですが、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどでは信頼性も見やすさも抜群なのですが、ショパンとなると内容に首をかしげる点が多くあります。
原典に忠実というのもヘンレ版の大きな特徴ですから、書かれていることはそれなりの根拠のあることとは思いますが、どう見てもショパンではあまりにも納得のいきかねる点が多すぎて、混乱するばかりです。
マロニエ君自身も以前、一度だけ(というのは直感的に気が進まなかったから、それまで買わなかったのですが)ヘンレ版のショパンのワルツをお試し気分で買ってみたことがありましたが、同曲で数バージョンがあったりするのは親切でいいとしても、全体的にも細かい点でも、どうもしっくりこないで、ほとんど使わずに本棚に押し込んだままになっています。
今日レッスンでやったのはノクターンでしたが、どう考えても書かれた指示がヘンに感じたり、あきらかに音がおかしかったりと、戸惑うばかりでした。
ショパンの楽譜というのは「決定稿」がなく、それぞれの編纂者の意図が反映される作曲家だとはいえるのですが、それにしても名にし負うヘンレ版のことでもあり、これを批判することは楽譜出版の世界では神を批判するようなものかもしれませんが、私にはどうしてもおかしいとしか思えませんし、自分なら絶対にショパンでは使わないものだと思いました。
ドイツ物で見せるあの説得力や使いやすさはどこへやら、やはり根本的にショパンとドイツというのは相性がよくないのかもしれませんね。
私ならショパンはペータース版やパデレフスキ版も好きですし、全音など日本のものもわりにいいと思うのですが。それぞれは指使いや細かい指示などは違っても、大きな違いというものはないように思いますが、ヘンレ版のショパンばかりはちょっとなじめません。
そればかりか、ショパンのCDでもピアニストがヘンレ版を使っていると知ったら、あまり聴く気になれそうにもありません。
あくまで個人的な好みの問題かもしれませんが。