この土日は音楽家の誕生会とピアノサークルの定例会が立て続けに行われました。
6月の誕生会はシューマンで、今回もCDはマロニエ君が準備し、交響曲、ピアノ、チェロ、ヴァイオリン各協奏曲、ピアノ五重奏はじめ室内楽、主要なピアノ曲、ヴァイオリンソナタ、歌曲集など。
だんだんに誕生会のありかたも定着してきた感があり、皆さんで思い思いのお話に花が咲きました。
飲み食いをしながら好きな音楽を聴いて、好きな話をするというのは、それだけで極楽ですね。
後半で一人がトロイメライをピアノで弾き出し、続いて店主の方が同じくトロイメライを弾き、いやな予感がしたと思ったらマロニエ君にも弾け弾けと集中砲火が浴びせられました。しかたなくマロニエ君もトロイメライを弾き、三人が三人のトロイメライを披露することになりました。あと二人ピアノを弾く方がおられましたから、マロニエ君も自分が弾いたが最後、一転して要求する側に回りましたが、そのお二人はガードが堅く、ついに弾かれませんでした。
そんなことをしながらの、あっという間の4時間でした。
翌日はピアノサークルの定例会で、今回は前半がショパンプログラムとなっていて、こちらでは後期のノクターンと死の床で書いたと言われるショパン絶筆のマズルカを弾きました。
つくづくと思い知ったのは、やはりどんなに覚悟を決めても場数を重ねても、マロニエ君には人前でピアノを弾くというのは決定的に向いていないということでした。
一人の時ならおよそ考えられないようなミスをしたりして、深い嫌悪感に苛まれます。
その一方で、ピアノサークルに来る人はやはり根本が違い、ちょっとでも、一曲でも余計に、途中まででも「弾きたい」人が大勢を占めます。こちらのピアノサークルも4時間ほどでしたが疲れましたし、ピアノはその間休む間もなく鳴りっぱなしでした。
遠方からわざわざそのために来られる方も少なくなく、その意気込みにはただただ恐れ入るばかりです。
でも、中には上手じゃなくてもハッとするような美しい瞬間を聴かせてくれる人もいて、そういうときはこちらも報われたような得をしたような気分になるものです。
ただ、個人的に思ったことは、フリータイムは言葉こそフリーではありますが、本番に比べて多少の雑談などはあっても、基本的にみなさん椅子に座って演奏を聴く態勢であることは変わらないのですから、あまり仕上がっていない曲まで持ちだして、人前でただ練習のような事をするのはどうかと思います。みんなが決められた時間・場所に集まり、お金を払ってそこでピアノを弾く以上は、上手でなくてもいいから自分なりにある程度仕上げたものという良心の一線は引くべきだと思います。
練習は基本的に一人もしくは、せいぜい練習会でするもので、あまり節度がなくなると我慢や疲れも倍増するものです。
音楽は音が出るからこその圧倒的な魅力と楽しさがありますが、そのぶん一歩間違えれば音は他人にとって苦痛や暴力にも変貌します。
そこのところを自覚したらいいと思うのですが、楽しさの基準も人それぞれでしょうから難しい問題です。
追記:もちろん、親しい皆さんとお会いできるのはいつもながら嬉しいことで、全体としてはとても楽しかったということを書き忘れていました。